2022/12/21

アレルギー

アレルギーとは?その原因と対策

清益 功浩先生

監修者・執筆者清益 功浩先生

大阪府済生会中津病院
免疫・アレルギーセンター 部長

アレルギーってなに?

アレルギーとは、本来、体にとって無害なものに対して有害なものとして免疫細胞が認識して、体から排除するために起こってしまう免疫反応です。

 

アレルギーになる原因

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と言います。アレルゲンの多くは、蛋白質です。食物、ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛やフケなどです。人工甘味料、食品添加物、化学物質、薬物、金属もアレルギーの原因となります。つまり、あらゆるものがアレルギーの原因になる可能性があります。

アレルギーの仕組み

アレルギーはアレルギーを起こす物質(アレルゲン)に免疫を担当する細胞が反応し、これを体から除こうと、過剰な反応をしてしまうことです。本来は体にとって有害な物質を取り除く、大切な反応なのですが、その反応が過剰ですと、アレルゲンがもたらす症状以上に過剰反応による症状が強くなってしまい、日常生活に支障が出ます。アレルギーには、IgE抗体と呼ばれる抗体が関与する場合、自分に対する抗体であるIgG抗体とIgM抗体、補体と呼ばれる成分が関与する場合、免疫細胞が認識する抗原とその抗原に対する抗体が複合体を作って、補体が関わる場合、リンパ球が関わる場合があります。

 

代表的なアレルギーのメカニズム

反応の程度は人によって異なり、そのアレルギーが何によって起こって、体のどの部分に症状が出るかで病名が変わってきます。例えば、気管支でアレルギーの反応が出て気管支が狭くなると、咳や呼吸がゼイゼイするという症状が起こり、「気管支喘息」になります。体内に入ってきた花粉に対して、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が起こると、「花粉症」になります。

アレルギーの種類と予防

アレルギーの種類は、どの臓器でアレルギーが起こっているか、アレルギーの原因が何かによって分かれています。予防はなかなか難しいかもしれません。


アレルギーの種類

アレルギーと呼ばれる疾患の種類として、どこでアレルギー反応が起きているかによります。目であれば、アレルギー性結膜炎、鼻であればアレルギー性鼻炎、口であれば口腔アレルギー症候群、気管支であれば、気管支喘息、皮膚ならアトピー性皮膚炎、じんましん、消化管であれば、消化管アレルギーになります。全身になると、アナフィラキシーと言い、2つの臓器で重篤なアレルギー症状があれば、アナフィラキシーと診断されます。原因によってアレルギーを分類すると、花粉が原因であるアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎を花粉症と言います。食物が原因であるアレルギーを食物アレルギーと言います。ハチアレルギー、蚊アレルギー、薬物アレルギーなどがあります。

 

(清益功浩著:アトピー治療の常識・非常識 医薬経済社)

アレルギーの予防

アレルギーの予防ですが、アレルギーの原因として、遺伝的要因と環境的要因があります。遺伝的要因はなかなか予防することは難しいのですが、環境的要因には予防することができる可能性があります。花粉症は、周りに花粉がなければ、花粉症になることはありませんし、ハチアレルギーもハチに刺されないとハチアレルギーになることは少ないと言えます。IgE抗体が産生され、そのことでアレルギー症状を起こす場合、IgE抗体が産生される要因として、皮膚バリア機能の低下が言われていますので、スキンケアが重要であると報告されています。

アレルギーマーチとは

アレルギーの病気が、年齢と共に変わっていくことがあり、その様子がアレルギーが行進しているように変わっていくことから、「アレルギー・マーチ」と呼ばれています。例えば、乳児・幼児に、アトピー性皮膚炎の症状が出て、食物アレルギーになり、小学校上がる前ぐらいには気管支喘息が発症し、思春期から成人になると花粉症になってしまうといったような感じです。また、アレルギーの原因となる物質も、食物からダニ、花粉に変化していることがあります。


アレルギーマーチを進行させないためには

アレルギーマーチを進行させないためには、それぞれの時期にみられるアレルギー疾患に対して、しっかりと対応することが重要です。その時期にしっかりと治療しておくことが重要になります。例えばアトピー性皮膚炎で皮膚バリアが低下した状態で、ダニなどが皮膚に付着して、IgE抗体が産生されるようになり(感作)、ダニアレルギーとして、アレルギー性鼻炎や気管支喘息になることがあります。周りの環境からできれば、ダニ、花粉を減らすこと、そのために掃除などを環境整備は重要と言えます。

アレルギーの検査方法

アレルギーの原因と特定する検査とアレルギーを診断する検査になります。


アレルギー検査方法の種類

アレルギーの原因となる物質に対するIgE抗体を特定するために血液検査と皮膚検査、負荷試験があります。

 

血液検査では、アレルギーの原因となる物質アレルゲンに対するIgE抗体が陽性または高値を示します。皮膚試験には、スクラッチまたはプリックテスト、皮内テストがあります。スクラッチまたはプリックテストは、原因と思われるアレルギー物質を皮膚にたらして、針で少しだけ皮膚を引っ掻きます。15分後に赤くなるか、蚊にかまれたような湿疹が出れば、たらしたアレルギー物質がアレルギーの原因と考えられます。皮内テストは 原因と思われるアレルギー物質を皮膚内に針で入れます。15分後に赤くなるか、蚊にかまれたような湿疹が出れば、皮内に入れたアレルギー物質が原因と考えられます。リンパ球が関わるアレルギーの原因として、アレルゲンに対するリンパ球の反応をみるリンパ球幼若化試験があります。パッチテストは、原因と思われるアレルギー物質を皮膚に貼り付けます。その状態で、2日間(48時間)、3日間(72時間)後に、赤くなるかを判断する検査で、接触性皮膚炎、金属アレルギーの診断の助けになります。

 

負荷試験では、実際にアレルゲンと考えられる物質を負荷して症状が誘発されるかどうかをみる検査です。例えば食物アレルギーの場合は、原因食材を摂取して症状が出るかどうかになります。

 

アレルギーの診断には、血液検査で、白血球の一部である好酸球という細胞が増えます。また、アレルギーに関わる蛋白質であるIgE抗体の値が高くなります。TARC(Thymus and activation-regulated chemokine)と呼ばれる細胞を呼び寄せるケモカインの値がアトピー性皮膚炎で高くなり、湿疹の程度が重症だと高くなります。SCC-2は、主に上皮細胞から産生され、アレルギー性の炎症に関わるタンパク質でアトピー性皮膚炎で高値になります。アトピー性皮膚炎では、他の疾患との鑑別で皮膚生検が行われることもあります。気管支喘息では、アレルギー炎症では呼気中の一酸化窒素(NO)が上昇しますので、呼気NO濃度を測定したり、呼吸機能検査、気道過敏性試験、気道抵抗などを測定します。アレルギー鼻炎では鼻汁中の好酸球数、アレルギー性結膜炎であれば、涙中、結膜擦過物の好酸球数を観察することがあります。

(プリックテスト)

まとめ


アレルギーは慢性疾患であることが多いため、症状が長いか、反復して症状が出るのかを注意して、アレルギーによる症状であれば、アレルギーの原因を検査することで、アレルギーを起こす物質を除くことで症状が改善することがあります。その意味では、アレルギーの病気を知って、そのメカニズムを知り、対応することが重要と言えます。そして、1つのアレルギーだけでなく、複数のアレルギーがある場合はあり、アレルギーの疾患も変化していきます。その意味でも自分のアレルギーを知っておくことが大切です。

監修者・執筆者清益 功浩先生

保有資格

  • 日本小児科学会 小児科専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会 アレルギー専門医・指導医
  • 厚生労働省 医師臨床研修指導医
  • 大阪市小児慢性特定疾病指定医
  • 大阪府難病指定医

現職

大阪府済生会中津病院
免疫・アレルギーセンター 部長