アトピー性皮膚炎の基本情報 Part 2 治療について

清益 功浩先生

執筆者清益 功浩先生

大阪府済生会中津病院
免疫・アレルギーセンター 部長

アトピー性皮膚炎の治療について

アトピー性皮膚炎の治療には3つの基本があります。①スキンケア ②薬物療法 ③悪化要因の対策です。

アトピー性皮膚炎の治療方法「薬物療法」

アトピー性皮膚炎の治療の1つである薬物療法にはいろいろとあります。基本的にはアレルギーによる炎症を抑える治療になっております。

アトピー性皮膚炎の治療法①「ステロイド外用薬」

ステロイド外用薬は、60年を超える長い歴史があります。歴史が長い分、私たちはその特徴を知り抜いていると言えます。

ステロイドは抗炎症作用があり、アレルギー性炎症を抑え、その有効性が多数報告されています。安全性/危険性についても情報が豊富です。このため、小児および成人においても第一選択治療となります。

ステロイド外用薬の炎症を抑える強さは、通常5段階のランクに分けられます。

日本では強い順から、一般にストロンゲスト(I 群),ベリーストロング(II 群),ストロング(III群),ミディアム(IV 群),ウィーク(V 群)と分類します。

アトピー性皮膚炎の湿疹の重症度、場所に応じたランクのステロイド外用薬を使用します。

ステロイド外用剤の副作用を述べます。全身性副作用としては、高血圧,高脂血症,糖尿病,肥満、満月様顔貌,クッシング症候群などがあり、局所の副作用としては、毛細血管拡張,皮膚萎縮,皮膚線条などがあります。

しかし、上手に使用すれば副作用はコントロールできることが多いです。

アトピー性皮膚炎の治療法②「タクロリムス外用薬」

タクロリムス外用薬は、細胞内のカルシニューリンを阻害する薬剤で、主にリンパ球に作用して炎症を抑えます。分子量が大きく、皮膚バリア機能が回復すると皮膚からの吸収が少なくなり、顔面、頸部など皮膚吸収の良い場所で有効なことが多いです。塗布当初、一過性の灼熱感、ほてり感がありますが、皮膚の改善とともに良くなっていくことがあります。

アトピー性皮膚炎の治療法③「JAK阻害薬」

JAK阻害薬には、外用薬と内服薬があります。アレルギー炎症に関わる種々のサイトカインによる細胞内へのシグナル伝達に重要なヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害し、免疫反応を抑える薬剤です。外用局所の副作用としては、毛包炎や痤瘡、カポジ水痘様発疹症、単純疱疹、接触皮膚炎などが報告されています。内服薬では、まずは、B型肝炎、結核などの感染症がないかどうかを検査して使用することになります。

 

アトピー性皮膚炎の治療方法「プロアクティブ療法」

アトピー性皮膚炎での外用剤治療においては、プロアクティブ療法とリアクティブ療法があります。

炎症が再燃した時に抗炎症外用薬を使って炎症をコントロールする従来からの方法をリアクティブ療法と言います。

これに対してプロアクティブ療法(炎症が悪くなる前に治療する)という考え方があります。

プロアクティブ療法は,再燃を繰り返す湿疹に対して,まずは急性期に、しっかりと炎症を抑える治療を行って湿疹をほぼ完全に良くします。その後、保湿外用薬によるスキンケアを行い、さらにステロイド外用剤やタクロリムス軟膏を間欠的に(週 3 回や2回など)塗布し,湿疹のない状態を保つ治療法です。

アトピー性皮膚炎は慢性的に炎症がみられ、炎症が良くなっていると見えても、皮膚の組織には炎症が残っているために、抗炎症外用薬を止めてしまうと炎症をすぐに起こして湿疹が出現し、湿疹によって痒みが生じてすぐに悪化してしまいます。こうしたことから、湿疹の状態を良い状態を保ちつつ、徐々に抗炎症薬を止めていくことができるようになります。

アトピー性皮膚炎の治療方法「生物学的製剤」

アトピー性皮膚炎で、現在、保険診療できる生物学的製剤はデュピルマブで、ヘルパーTリンパ球に関与するIL-4とIL-13というサイトカインと呼ばれるタンパク質を抑制する抗体です。生物学的製剤は生体が作る物質を薬物と使用するものになります。ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬などで治療不十分な人が対象となります。

副反応として結膜炎があります。デュピルマブは気管支喘息でも使用可能になっております。

アトピー性皮膚炎の治療方法「その他の治療法」

かゆみの原因の1つであるヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬の内服があります。長期投与による安全性が高い一方、効果については外用薬の補助的な治療になっております。副作用としては、眠気が問題になりますが、脳への移行が少ない非鎮静性抗ヒスタミン薬が出ており、副作用は少なくなっております。免疫抑制剤の内服としてシクロスポリンがあります。シクロスポリンは、16 歳以上で既存治療で十分な効果が得られない最重症(強い炎症所見を伴う皮疹が体表面積の 30%以上みられる)の患者さんが対象になります。副作用としては、腎障害や高血圧,感染症などに注意が必要です。長期使用での安全性が確立していませんので、症状が軽快した後は速やかに一般的な外用治療に切り替えます。長期投与が必要な場合は 2 週間以上の休薬期間が必要になります。

執筆者・監修者清益 功浩先生

保有資格

  • 日本小児科学会 小児科専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会 アレルギー専門医・指導医
  • 厚生労働省 医師臨床研修指導医
  • 大阪市小児慢性特定疾病指定医
  • 大阪府難病指定医

現職

大阪府済生会中津病院
免疫・アレルギーセンター 部長