CAI認定機構についてAbout

 

理事長挨拶

一般社団法人日本アレルギー疾患療養指導士認定機構理事長

一般社団法人 日本アレルギー疾患療養指導士認定機構

理事長

勝沼 俊雄Toshio Katsunuma

一般社団法人日本アレルギー疾患療養指導士認定機構は2020年(令和2年)5月に創立されました。アレルギー疾患療養指導士(Clinical Allergy Instructor:CAIと略しています)の育成と認定を行う機構です。
CAIは、喘息や花粉症、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどアレルギー疾患の管理や治療に関する専門知識を有し、患者さんや家族への指導スキルを兼ね備えたコメディカルスタッフです。医師と協同してチーム診療を行うことにより、標準的で良質なアレルギー医療を国民に提供する資格です。
残念ながら現在は、患者さんがお住まいの地域や受診先によって、アレルギー診療の中身にばらつきがあり、国民の誰もが良質なアレルギー診療を受けることができない実態があります。
CAIはアレルギー患者さんに寄り添い、改善や治癒へ導くことことができるスキルを有します。日本人の半数が悩んでいるとされるアレルギー疾患について、どこでも誰でも良質なアレルギー医療を受けることのできる仕組みと資格がCAIです。
アレルギーで悩む患者さんやご家族が0になることを目標に会員一同邁進してゆく所存です。

理事長の想い

CAI(アレルギー疾患療養指導士)は、喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の治療や管理に関する専門的知識を有し、患者さんや家族への指導スキルを備えたコメディカルスタッフです。医師と協同でチーム診療を行うことにより、標準的で良質なアレルギー医療を国民に提供する資格です。

私がCAIという仕組みを創り出そうと思い至った経緯をお話ししたいと思います。
初めに一人のアトピー性皮膚炎児をご紹介します。

一般社団法人日本アレルギー疾患療養指導士認定機構アレルギー男児

2歳の男児です。
1歳前から悪化が目立ち、いくつかの小児科、皮膚科を転々としました。かなり強いレベル(very strong)のステロイド外用剤や、何種類もの内服薬が処方されました。それでも悪化傾向が続くため「薬漬け」になることを恐れた親は漢方医を受診しました。そこでは「脱ステロイド(ステロイド外用を一切用いない非標準的な治療方針)」と1日10回の入浴を指導され、両親は半年以上頑張りましたが、皮膚はますます悪化し、夜も眠れなくなったため私の病院を受診された。
写真を見てお分かりの通り、皮疹は全身性で、常に掻きむしるため一部の皮膚では出血が認められました。不機嫌でつらそうな表情が印象的でした。
重症なアトピー性皮膚炎と診断し、親に対してスキンケアの重要性と、ステロイド外用を中心とする標準的治療について説明しました。

一般社団法人日本アレルギー疾患療養指導士認定機構アレルギー男児5日後

5日後の写真をご覧ください。皮疹の重症度は半減し、かゆみの程度は20%以下になっていました。夜も眠れるようになり、何より子供らしい穏やかな表情を取り戻したことをお分かりいただけると思います。その後も順調に経過しました。

当初、この子があれほど悪化していたのはなぜでしょうか?
それは行うべき標準的治療や指導がなされなかったことに尽きると思います。
私はアレルギー専門医なのでそれができましたが、専門医以外、あるいは専門医であっても子供の診療に慣れていない医師には容易なことではなかったのだと思います。アトピー性皮膚炎を良くする、治すためには薬を処方するだけでは不十分で「入浴時はどのように洗浄するか」、「皮膚のどこに、どのくらいの量をどのように塗るか」といった実践的指導が重要なのに、それがなされていなかったことが重症化の要因と考えます。

一方、人口の数~10%も存在するアトピー性皮膚炎というアレルギー疾患の多さに対し、アレルギー専門医が少なすぎる実態があります。あるいはアレルギー専門医がいる病院や地域では良いアレルギー診療を受けることができますが、そうではない病院や地域では受けられない実態があります。
このような状況は小児ばかりでなく成人でも見られます。またアトピー性皮膚炎に限らず喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症などでもしばしば見られることです。
私の施設を受診した重症喘息児135人を調査したところ、吸入指導だけで軽症になった子が40%もおられました。驚くべき頻度です。

このようにアレルギーの領域では単に薬を処方するだけでなく、患者さんが正しく用いて初めて薬の効果が現れるのです。

ではどうすれば、こうした望ましくない状況を打破できるのでしょうか?
私はこれまで、アレルギー専門医の数を増やせば可能と考えてきました。しかし状況はなかなか好転せず、アレルギー専門医の育成だけでは不十分であることを痛感するに至りました。色々考えを巡らした結果、医師と患者さんの間にCAIという存在があれば、患者さんたちは容易に薬の正しい用い方を習得できるに違いないとの発想に至りました。

患者さんに寄り添い、導くことことができるCAIに活躍して頂くことによって、治療の効果が十分に発揮され、アレルギーに悩む患者さんの数が大きく減少すると確信しています。

以上がCAIへの私の思いです。