専門知識を有し、指導スキルを兼ね備えたコメディカルスタッフです
CAI(アレルギー疾患療養指導士)は、喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の治療や管理に関する専門知識を有し、
患者さんや家族への指導スキルを兼ね備えたコメディカルスタッフです。
必ずしもアレルギーが専門ではない医師と協調してチーム診療を行うことにより、標準的で良質なアレルギー医療を国民に提供する
資格です。
喘息やアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患は、単に薬を処方するだけではなかなか良くなりません。患者さんが正しく服薬して、初めて薬の効果が現れます。
つまり患者さんが正しい吸入方法、塗布方法、噴霧方法、点眼方法、注射方法などを身につけて頂かないと、薬の効果は発揮されません。食物アレルギーにおいては、患者さんや家族に正しい知識を身につけて頂かないとアナフィラキシーの危険にさらされることになります。
CAIは医師の治療を補完し、患者さんや家族と直接かかわることで、国民の健康に寄与します。
日本人の半数が悩んでいるとされるアレルギー疾患について、誰でも、どこでも良質なアレルギー医療を受けることのできる仕組みと資格がCAIです。
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いくら良い薬が処方されても、正しく服薬されなければ、効果は現れません
日本人の半数以上がアレルギー疾患に罹患していると推測されています。
アレルギー治療薬は大いに進歩していますが、いくら良い薬が処方されても、正しく服薬されなければ、効果は現れません。
たとえば喘息では、いわゆる重症患者の50%以上は適正な吸入指導により軽症化することが知られています。これは小児でも成人でも同様です。
つまり本来重症ではない患者さんが、薬の正しい吸入方法を知らないばかりに、いたずらに重症化している実態があるのです。
アトピー性皮膚炎では、正しいスキンケアの方法や外用薬の塗り方を知らなければよくなりません。
アレルギー性鼻炎では正しい鼻噴霧がなされないと良くなりませんし、上手に花粉を避けないと花粉症状は良くなりません。
アレルギー性結膜炎では正しい点眼が必要ですし、花粉症の場合、上手に抗原を避けないと良くなりません。
アナフィラキシー治療の特効薬であるエピペンも自分を刺してしまう誤注射が世界で数万件も報告されています。
「アレルギー疾患対策基本法」で謳われる、アレルギー医療の均てん化と育成
一方で、ありふれたアレルギー疾患に対して、アレルギー専門医の地域偏在、地域格差が問題となっています。東京都のアレルギー専門医数を1とした場合、0.1に満たない地域がいくつもあります。
このような現状を踏まえ、「アレルギー疾患対策基本法」という法律が2014年に制定されました。この法律ではアレルギー医療の均てん化*を重要視しており、「国は、アレルギー疾患に関する学会と連携協力し、アレルギー疾患医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の育成を図るために必要な施策を講ずる」ことが謳われています(第三章 第二節 第十六条)。
下線部を見てください。コメディカルに関するこの記述はまさにCAIを意味しています。
どの地域においても標準的なアレルギー診療が受けることができる均てん化を実現するためには、アレルギー専門医の育成だけでは不十分であり、CAIの育成が絶対的に必要なのです。そしてCAIの理念とアレルギー疾患対策基本法の理念は完全に合致するといえます。
*均てん化:全国どこでも標準的、良質な医療が等しく受けられること。
疾患の軽症化だけでなく、医療費、労働損失減額効果が期待される
CAIと医師によるアレルギー適正診療の効果は、患者さんに対して直接、疾患の軽症化や、QOL(Quality of life:人生の質)の向上をもたらします。患者さんはアレルギーが良くなるので睡眠も確保され身体的に楽になります。併せて心も楽になります。心身ともに楽になることで、その人らしい人生が展開されることになるでしょう。
しかしさらにプラスアルファの効果も期待できます。それはアレルギー医療費の削減効果と労働損失費用減額効果です。
アレルギー医療費と労働損失コスト*の合計は患者一人当たり年間110万円から200万円に及ぶと言われています1)。成人喘息に限ってみても日本全体では数兆円規模の医療経済効果が見込まれる試算となるそうです。
さらに近年は、アレルギー領域において高額な生物学的製剤が用いられるようになってきました。費用的には数百億から1000億円の規模と推計されています。
アレルギー疾患に対するCAIと医師が協調するチーム医療、すなわち正しい吸入・噴霧指導、スキンケア指導等により、疾患そのものが軽症化しますので医療費、労働損失ともに抑制されるものと期待します。
*労働損失コスト:労働者の体調・精神不良によって生じる事業的損失コスト
参考文献
1.足立満ら.日本の喘息に関する実態 インターネットを使った大規模調査(National Health Wellness Survey[NHWS])より.アレルギー・免疫 2012; 19: 776-788.
2024年6月1日~30日に第4回CAI認定試験(CBT方式)を実施(詳細:第4回CAI認定試験概要)。
※次年度の認定試験概要は準備出来次第お知らせします。
これまでの合格者は、2021年(令和3年)度に584人(CAI1期生)、2022年(令和4年)度に223人(CAI2期生)、2023年(令和5年)度が239人(CAI3期生)で、合計1046人の有資格者が誕生しています。
今後、5〜10年かけて全国で1万人以上の認定を目指してCAIの育成を図っていきたいと考えています。
そしてこの間、CAIと医師が協同したアレルギー診療によってどれだけの患者さんや家族が救われるのか、種々のアレルギー疾患についてさまざまな視点(疾患の軽症化、QOL、医療費など)から検証し、データ(数値)として示していきます。CAIの使命や存在意義を科学的データに置き換えることはとても重要です。
そして、CAIと医師がチームで行うアレルギー診療に対して、正当な診療報酬が認められるよう力を尽くしていきます。診療報酬の裏付けにより、CAIの価値と重要性はますます高まるものと考えます。
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